広島市中区の南端、江波(えば)地区。
かつては広島湾に浮かぶ島だったというこの地には、歴史と学び、そして絶景が凝縮されてます。
今回は、レトロな建築美と戦火の記憶を今に伝える「広島市江波山気象館」と
その周辺を紹介します。
広島湾を一望する小高い丘の上の公園

広島電鉄「江波」電停から歩いて約15分。
緩やかな坂道を登り切ると、そこは江波山公園です。
標高約37メートルの小さな山ですが
かつて「江波島」と呼ばれていた名残を感じさせる独立した地形をしています。

公園内を散策していると、ふと眼下に広がる景色に足が止まりました。
密集する住宅街の向こうに、穏やかな広島湾と工場地帯が広がってます。
坂道の階段から眺める港町の風景は、一瞬広島にいる事を忘れて
ここは長崎か!?・・・
と、錯覚してしまいそうです(笑)。
どこか懐かしく、海と共に生きてきたこの町の息遣いを感じさせてくれます。
昭和初期のモダニズム建築「江波山気象館」

公園の頂上にあるのが、今回の主役である広島市江波山気象館。
1934年(昭和9年)に「広島地方気象台」として建てられました。
入場料は100円と、気軽に立ち寄れます。

北側の外壁
色が黒くなっているのは、原爆の爆風を受けた為で
被爆の痕跡を伝え続けてます。

館内に入ると、展示内容は「気象」という科学的な側面と
「被爆」という歴史的な側面の二本柱で構成されてます。

特に衝撃的だったのは、展示室の壁に残された「ガラスが突き刺さった壁」。
1945年8月6日。爆心地から約3.7キロ離れたこの場所も強烈な爆風に襲われました。
割れた窓ガラスの破片が猛烈な勢いで壁に突き刺さり、今もその跡が生々しく残ってます。
「てっきり近所に爆弾が落ちたものと思い、とっさにいすを後へはねのけ床上に伏せ2〜3秒たったと思うころ、ごうぜんと爆風が頭上をかすめて行くのを聞いた。」
(当時の職員の手記より)
計算上、この場所を襲った爆風は秒速700メートルを超えていたとのこと‥。
当時の職員たちがどれほどの恐怖の中で観測を続けようとしたのか、想像し難いです。
屋上からは大パノラマを望める!
そして、ぜひ足を運んでほしいのが屋上の展望デッキです。
ここからは360度のパノラマビューが楽しめます。
北を向けば広島の市街地と山々、南を向けば瀬戸内海の島々。

歴史を刻んだ重厚な建物の塔屋越しに見るこの景色は、江波山ならではの贅沢な眺めです!。

正面に見えるのは江波皿山。
標高約50mの低い山ですが、山頂からは路面電車の江波車庫や
広島市街地を望む事ができます。

広島都心
中央右寄りに建設中の超高層ビルは高さ約160mの「KAMIHACHI X(カミハチクロス)」。
商業、オフィス、ホテルの複合ビルで2027年完成予定。

宇品方向
これ程の絶景であるにも関わらず、訪れる人もそんなに多くはなく
常にインバウンドでごった返している原爆ドーム周辺とは別世界です!。
~最後に~
江波山気象館は、単なる「気象の博物館」ではありませんでした。
戦前から続く美しい建築デザインの建物。
そして何より、あの日から止まったままの記憶と、そこから力強く復興した街の姿を
同時に見つめることができる場所です。
春には「ヒロシマエバヤマザクラ」という珍しい桜が咲き誇ることでも知られる江波山。
四季折々の自然と共に、広島が歩んできた時間を静かに物語るこの場所へ
ぜひ一度足を運んでみてください。
(終)

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