【函館市】観光客は急増! しかし、人口減少は深刻な函館の街を歩いてみた! 函館駅前編

都市訪問記(東日本)

異国情緒あふれる街並みに、絶品の海の幸、そして息をのむような夜景‥
北海道を代表する観光都市「函館」は、国内外から多くの旅人が訪れる憧れの地です。
しかし、その華やかな観光地の看板の裏で、函館市は全国の主要都市の中でもトップクラスの
「人口減少」に直面しているのをご存知でしょうか。
観光客で賑わう光景と、どこか寂しさを漂わせる街のリアル。
今回はその「光と影」を感じるべく、旅の玄関口である函館駅周辺
十字街をじっくりと歩いてみました。

旅の始まりは新幹線開業10周年の熱気漂う「函館駅」から

旅のスタートは、もちろんJR函館駅。
駅舎に一歩足を踏み入れると、巨大な垂れ幕が目に飛び込んできました!。

そこには「北海道新幹線 10th ANNIV. 2026.3.26」の文字。
新青森・新函館北斗間が開業してから、早いものでもう10年が経ちました。
垂れ幕に描かれた、函館名物のイカをモチーフにしたキャラクター「イカール星人」の
シュールな姿が、筆者を歓迎してくれているようで心が和みます!。
駅の外に出て、改めて駅舎を振り返ると‥

近代的なデザインの函館駅舎の前には、大きな赤いオブジェがそびえ立ち
その周囲をスーツケースを引いた多くの観光客が行き交ってます。
これぞ「観光都市・函館」の表の顔
新幹線効果やインバウンドの復活も相まって
駅前は活気とエネルギーに満ちあふれているように見えます。

再開発で生まれた新しいランドマークと、見え隠れする「隙間」

駅の北側には、近年新しく誕生した複合商業施設が目を引きます。

お洒落なホテル「ラ・ジェント・ステイ函館駅前」の下には
函館の食や文化を楽しめる「HAKOVIVA(ハコビバ)」や
「函館駅前横丁」といったスポットが並んでます。
昭和レトロな街並みが再現されており、観光客が熱心に写真を撮ってました。
一見すると、非常に洗練された賑やかな駅前再開発の成功例に見えます。
しかし、少しカメラのレンズを広げて周囲の街並みへと視線を移すと
少しずつ違った景色が見えてきます。

駅前正面には再開発ビルの「キラリス函館」。
かつては和光デパートでしたが、2013年に閉店。
跡地を再開発して2016年に完成。

周囲を歩いているのは観光客や一部の地元の方々ですが
どこか空間が広く、オフィスやホテルのビルがぽつりぽつりと立っているものの
地面に近い部分の「人の密度」が低いように感じられます。
さらに大通りを見渡してみましょう。

近代的なオフィスビルやホテル、奥には建設中の建物が見えます。
都会的な景観ではありますが、平日・休日を問わず
買い物を楽しむ「地元の生活者」の姿が驚くほど少ないのです。
左側の建物は2019年に閉店した棒二森屋デパート
再開発計画こそあるものの、延期を繰り返しており
閉店から7年が経過しても、未だに建物の解体が進んでません。

函館市は現在、毎年数千人規模で人口が減少しており
特に若い世代の流出が深刻な問題となっています。
駅前に立派なマンションが建っても、それはセカンドハウスとしての需要であったり
高齢化に伴う郊外からの移住だったりすることが多く
街全体の「若々しい活気」には直結しにくいという現実が
駅前の一等地に鎮座する”廃墟ビル”から伝わってきそうです‥。

市電に乗って、十字街、そして歴史の見える丘へ

駅前の雰囲気を味わった後は、函館の移動の足である「函館市電」に乗って
少し南へと移動してみることにしました。

電停で待っていると、レトロな車両だけでなく最新の超低床車両も走ってきます!。
この日は”比較的穏やか”でしたが、ハイシーズンには大量の観光客で
積み残しが発生するくらいの大混雑となります。

十字街付近を走行する路面電車
市民の貴重な足であり、観光客にとっては風情を楽しめる素晴らしいコンテンツです。
こうしたインフラが今も現役でしっかりと維持されているのは、この街の大きな魅力ですね。

かつては函館のビジネスや商業の中心地として
東京の銀座にも負けないほどの賑わいを見せていたという十字街エリア。
今では、大正時代に建てられた美しい丸井今井百貨店の建物を活用した
「函館市地域交流まちづくりセンター」など、歴史的建造物が静かに佇んでいます。

歴史建築好きにはたまらない美しさですが
やはりここでも、すれ違う人の数はまばら‥。
かつての栄華を知る人からすれば、寂しさを禁じ得ない光景かもしれません。
ここからさらに足を伸ばして坂を登り、函館の街を一望できる「元町配水場」へと向かいました。

桜越しに望む函館湾と、コンパクトシティへの模索

ちょうど季節は春。
元町配水場に到着すると見事な桜が咲き誇ってました!。

満開の桜の向こうに見えるのは、函館湾の穏やかな海と、遠くに霞む山々。
して、歴史ある教会の尖塔や赤レンガ倉庫群エリアの建物が調和した絵画のような絶景。
天気が惜しい‥
角度を変えて、街並みを広く見下ろしてみます。

手前には風情ある赤レンガの建物。
さらに函館湾の港には大型のクルーズ客船が停泊しているのが見えます。
これほどまでに美しく、観光資源に恵まれた街が、なぜ人口減少に苦しまなければならないのか‥。
観光業がいくら好調で、豪華客船から大勢の外国人が降り立っても
それが街の「定住人口」や「日常の経済」を底上げする決定打にはなりにくい。
観光地としての魅力があるからこそ、そのギャップが切なく感じられます。

歩き終えて:函館駅前が教えてくれたこと

再び函館駅前に戻ってきました。
新幹線開業10周年を祝い、新しいホテルや商業施設が並ぶ函館駅前。
そこは確かに、観光客を温かく迎え入れる「おもてなしの最前線」として機能していました。

しかし、一歩裏通りに入ったり、地元の生活導線に目を向けたりすると
少子高齢化と人口減少の波が、確実にこの街の足元を削っていることも肌で感じられます。

「観光客が集まる華やかな空間」と「市民が暮らす静かな空間」

この2つの空間をいかに繋ぎ、観光の恩恵をいかに地元の持続可能な暮らしへと還元していくか。
函館駅前の景色は、これからの日本の地方都市が歩むべき
険しくも避けて通れない道のりを象徴しているようでした。
みなさんも次の函館旅では、ぜひ華やかなスポットだけでなく
駅前の広い空や、路面電車の走る大通りの佇まいにも、少しだけ耳を澄ませてみてください。
五稜郭編につづく

コメント