【高岡市】北陸新幹線通過の影で……。再開発で綺麗になったのに人がいない高岡駅周辺を歩く

都市訪問記(西日本)

北陸新幹線の開業以来、富山県は観光客であふれ、活気に満ち溢れています。
しかし、その光と影を如実に感じさせる場所があります。
それが、富山県第2の都市、高岡市の玄関口である「高岡駅」です。
富山駅が新幹線開業で空前の賑わいを見せる一方で
高岡駅は新幹線が併設されず(新高岡駅が別に建設された)
かつての特急停車駅としての地位を失いました。
再開発によって駅舎や駅前は近代的に生まれ変わったものの
そこには驚くほど人がいません。
「衰退」という言葉が頭をよぎる、寂しい散策の記録です。

特急が消えた、広すぎるホーム

高岡駅に降り立ってまず感じるのは、その静けさです。
かつては上野行きの寝台特急や、大阪・名古屋方面への特急が頻繁に行き交う北陸本線の要衝でした。しかし、新幹線開業と共に平行在来線は「あいの風とやま鉄道」へと移管され
優等列車は姿を消しました。

特急列車が来なくなり、静まり返った高岡駅のホーム。
広大なホームには列車到着時以外は人影もまばらで
時折やってくる2両編成のローカル列車が
かつての長大な特急列車の停車位置標を虚しく通り過ぎていきます。
ホームの長さが、往時の賑わいを無言で語っているかのようです。

綺麗なのに……閑散とした近代的な駅前

改札を抜け、駅舎の外へ出てみます。
高岡駅は再開発によって、非常に近代的で立派な橋上駅舎へと生まれ変わっています。

再開発により建て替えられた、近代的な高岡駅舎。
外観は立派だが……

ペデストリアンデッキが整備された高岡駅前。
真新しい富山銀行本店ビルやマンション、ホテルが立ち並んでます。
見た目は政令指定都市の駅前と言われても遜色ないレベル。
しかし、決定的に足りないものがあります。
それは「人」です。

広く整備された駅前通り。
しかし、歩いている人はまばら。
広い歩道、整備されたアーケード、建ち並ぶビル。
そのどれもが、そこに誰もいないことで、かえって寂しさを強調しています。
富山駅前の、あの溢れんばかりの活気とはあまりに対照的です。
新幹線が「停まらない」ということが
これほどまでに都市の勢いを止めてしまうものなのかと愕然とさせられます。

ドラえもんと路面電車は頑張っている

そんな寂しい駅前で、唯一の癒やしであり
高岡のアイデンティティを感じさせてくれるのが
高岡市出身の漫画家、藤子・F・不二雄先生にちなんだスポットです。

駅のコンコースには、高岡銅器で作られた「ドラえもんポスト」が設置されてます。
このポストは、高岡の伝統産業である銅器でできており重厚感があります。
ここに手紙を投函すると、ドラえもんの記念消印を押してもらえるそうです。
このポストの前だけは、わずかに観光客らしき人の姿がありました。
また、駅の1階からは、市民の足である路面電車「万葉線」が発着しています。

カラフルな車両が走る姿は、閑散とした街の中で、かすかな活気を感じさせてくれます。
万葉線も「ドラえもんトラム」を運行するなど、懸命に集客に励んでいます。

シャッター街となった、かつての中心市街地

駅前を離れ、かつての中心市街地であった御旅屋(おたや)地区へと歩を進めます。

しかし、その足元に広がるアーケード商店街は、目を覆いたくなるような惨状でした。
シャッターが閉まったままの店舗が延々と続き、人通りはほとんどありません。
「地方都市のシャッター街」という言葉を、これほど典型的に体現している場所も珍しいでしょう。
その象徴が、かつての商業の中心であった「御旅屋セリオ(旧高岡大和)」です。

かつての百貨店、旧高岡大和が入っていた御旅屋セリオ。
立派なガラスアトリウムを持つ建物ですが、核テナントであった百貨店「大和」はすでに撤退し
現在は公共施設や大和のサテライトショップ、そして一部のテナントが入るのみ。
建物自体が、過去の栄華を象徴する巨大なモニュメントのように感じられました。

歩き終えて

高岡駅周辺の散策は、都市計画の難しさと、新幹線という巨大インフラの影響力を
肌で感じる体験となりました。

再開発でハード面(建物や道路)は近代化され、非常に綺麗になりました。
しかし、ソフト面(人、賑わい、経済活動)がそれに伴っていません。
新幹線が併設されなかったことで、高岡は「目的地」ではなく
単なる「通過点」になってしまったのです。

富山駅の繁栄の影で、静かに、しかし確実に衰退が進行している高岡。
ドラえもんや伝統産業といった素晴らしいコンテンツはあるものの
それらを都市の活気へと繋げる決定打を欠いているように見えます。

北陸では唯一の地下街がある高岡。
ここもやはり閑散としています‥。

立派な駅舎と誰もいない駅前‥
そのコントラストは、地方都市が抱える深い闇を映し出しているかのようで
複雑な心境で高岡を後にしました。
(終)

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